ギルガメが倒せない

帝王の独り言を聞いて欲しい。



「・・・という行動をとろうと思うんだけど。」

『それは出来ない。』

「あ、そうなの。何で?」

『不思議な力が働いてるから。』




「む、このユニットにファイヤーですか。でも跳ね返す魔法使ってるから大丈夫だよね。」

『いや、魔法は障壁を貫通したよ。500ダメージ。』

「何で!?」

『ん?ボスだから。(当たり前のこと聞くなよという顔)』




「敵国の兵士に囲まれましたか。どうやって切り抜けようかな。」

『さてここは牢獄。』

「いきなりかよ!交渉くらいさせろよ!ていうかこの展開もう3回目だぞ!」

『まあ、落ち着きたまえ。これから絶対勝てない中ボスとの戦闘が・・・。』

「やめさせてもらうわ」







松野泰己が途中で降ろされたと聞いたときから、2006年3月にこういう展開になることは予想が付いていた。


TRPGサークルの定例会で目の当たりにしたら、おそらくグーで殴ってしまうであろう上のようなゲームマスターを思い起こさせるゲーム、ファイナルファンタジー


それでも毎回発売日に買って、数日はまり込んでしまうのは、幼い頃から自らの精神に多大な影響を与え続けたRPGに対する宗教儀礼の一環である。


ファイナルファンタジーは今や、有電源RPGと言われる媒体の中で最も多額の資金と人的資源を費やしたメジャーリーグだ。いかに苦痛を伴うとは言え外す事は出来ない。




それに、今回は期待もあった。途中で降ろされたとは言っても、『伝説のオウガバトル』、『タクティクスオウガ』、『ベイグラントストーリー』の松野が手がけた作品だ。


PS2のスペックを最大限に生かし、ようやくリアルタイム『タクティクス・オウガ』が楽しめるかと、一瞬夢を見た。


しかし、新システム「ガンビット」もFF4以来の糞システム、「アクティブタイムバトル」によって台無し。練りこまれた世界設定や敵キャラも上の寸劇のような鼻に付くFF臭さのせいで霞の如し。


「次こそは」


という期待はまだある。しかし、もう限界だ。私の年齢、体力的にゲームにのめり込むのはこの作品が最後になるだろう。

事実、発売日翌日より有給休暇をとり3日間FFをやり続けた結果、私の精神は既に不調をきたしている。


先程などは、突如として飛来した不安感により、玄関で15分ほど体育座りをしてしまった。何故玄関。


さらに3日もの間、「それ、温めなくていいです。」以外の言葉を発していない為、対人交渉能力は著しく低下し、明日からの仕事に多大な支障があることは間違いない。


何故ここまでして時間をどぶに捨てなければならないのか。



上司との飲み会を断る理由に

「FFをやらなければならないので」

ということが流石にできず、架空の彼女との別れ話を創作。すまん。もう限界なんだよ、ほんとに。


何故ここまでして・・・。


答えは無い。情け容赦なく無い。


だから、誰か僕にギルガメの倒し方を教えてください。

明日への扉をぶち破るために。