モノが売れないのは誰のせい?

売る側のせい。自分自身セールスに携わる人間としては血を吐くような苦痛を伴うが、「売る側のせいだ」と思う。

顧客が必要としているものを適正な価格で売ることができなければ当然のことながらモノは売れない。


自分はソフトウェアのセールスエンジニアをやっているので、販売目標に達成しないときなどは本当にへこむ。
ガチの営業と違って、未達を誰かから直接責められることはないが、売れない原因は、売る側が顧客にメリットを説明して「ああ、これは便利だなぁ、これを使えばすごく楽になるなぁ、儲かるなぁ」と思わせることができないからである。まあ、当然営業の段取りが悪いからっていう場合もあるが。

最近、「CDが売れなくなったのは違法DLのせい」とか、「ゲームが売れなくなったのは飽きるのが早いから」とか無責任な発言をよく聞くにつれ、自分はできればこんなことは言いたくないなと自戒している。



自分の商品の良さを説明できないなら辞めたほうがいい。事業の目的も説明できない、事業仕訳に出てくる官僚達と同じだ。
スパコンの性能が良くないとダメな理由を聞かれてなぜ「人類の発展のためにはわれわれの方法がベストであることを証明するためだ」と言い切れないのか。なさけないにもほどがある。

話が脱線した。


ただ、明らかに僕個人の生活はインターネットのおかげでまるで様変わりをした。パソコンやネットワーク接続料は結構高いが、一度払ってしまえばいろいろなことができる。子供のころだったらテレビを見ていたであろう時間は、完全にPCになっているし、ゲームもオンラインがメインになったため、以前ほど流行り廃りでゲームを買うことはなくなった。

CDに関しては完全にお門違いだ。違法DLなどほとんどの人はしていない。若者が共通の話題として音楽の話をする環境が減っているし、コンテンポラリーの曲の話をする以前に、細分化した音楽の世界では共通の趣味の人を見つけること自体非常に困難だからだと思う。だから安定して売れる(販売数を予測できる)CDは「ジャニーズ」、「アニソン」、「韓流」といった、作品数自体が限られていて、グループの中でドグマを形成しやすいものばかりになっていくのだと思う。

(まあ、聞くところによると「ジャニーズ好き」といっても趣味は様々で、同じ「ジャニーズ好き」でも話が合うことはほとんどないらしいが・・・。そういう意味では「アニソン」も同じだな)


20世紀はとにかく日本やアメリカだけでなく世界の先進国が同じ方向を向いていたと思う。政治思想、宗教こそは異なれ、みな科学技術が未来を良くするにせよ悪くするにせよ変化させていく時期だという共通認識を持っていた。(ちょっと前まで、テレビとか新聞とか漫画とか呆れるくらい「未来、未来」言っていた。「未来」は特別なものだった。)


いまは、誰も何も見ることができない。良くなるとも悪くなるとも分からないし、人類が何によって変化していくかを見出せなくなっている。
むしろ変化というよりは、人間の変わらない部分の再発見と人類の普遍性の構築が今求められているものではないだろうか。


自分のような落ち着きのない人間には生きにくい時代だ。


モノが売れなくなったのではない。本当に必要なものとは何かを人々が考えるようになっただけだ。それはそれでいいことだと僕は思う。


相変わらず感想ばっかりだな。いいんだ薄っぺらでも。