たばこのメリット
先日会社の飲み会で原発推進派の上司とちょっとした議論になった。
結論から言うと、僕のように福島の野菜を買わない人間はタバコをやめるべきなんだそうだ。
福島以前の電力会社は電力の使用料金に事故が起きて補償しなければならない分を加味していなかったと。
事故で移転を余儀なくされたような人たちへの補償を税金に求めているわけで、これは国民の負担であると。
当然想定しておくべきリスクを外部リスクとして第3者に転嫁しているわけだ。
つまり、喫煙者であるところの僕はタバコによる発がん性は考慮に入れず本来少しは買っていたであろう福島県産の野菜を敢えて買わないことにより健康を担保しようとしているわけだが、これは明らかに第3者が本来得るべきだった利益を搾取しているんだそうだ。
そもそも国の暫定基準値が信用できないから福島県産の野菜を買わないようにしているわけだが、ここまで言われるとタバコやめてでも堂々と東電と国の原子力政策を批判したくなってきたのでタバコをやめる計画を立ててみた。
しかしながら熱心なる臣民の諸君におかれては、帝王が禁煙リームーだったのを覚えてらっしゃることであろう。
これ→http://d.hatena.ne.jp/gen665/20101123
で、その後→http://twitter.com/#!/gen665/status/12375361258000384
そこで今回は努力型ではなくリセット禁煙的なやり方で、というかまさにその「リセット禁煙のすすめ」という本がオフィスにあったので、そういうやり方でやろうと思った。
で、読んでみたわけだが、ひどいな、この本。
僕が大好きなタバコを「百害あって一利なし」、「女だと思って付き合ったら男という状況並みの詐欺的存在」等さんざんな書き方をしている。（だいたい後者の比喩ってポリティカリーに問題はないのか？）
そもそも、ひとはメリットのない行動などしない。デメリットが多い事柄であっても必ずメリットは存在する。
結局はメリットがデメリットを上回っているからこそ人はそれを選択するのだ。
何かの行為をやめようと思った場合メリットとデメリットをはかりにかけて、場合によってはメリットが本当にメリットなのかどうなのかを分析した上でないとその行為をやめることなどできないではないか。
頭ごなしに「お前がメリットと思っているものなど存在しない！嘘！でっち上げ！すべてまやかし！」とか言われても、そんなことで人の価値観を変えられるようだったら新興宗教にハマった家族を連れ戻すのなんかお茶の子さいさいである。
逆にたばこのデメリットだけ強調しても、本人はメリットを感じているわけだから相殺されてしまう。
メリットを上回るデメリットを3倍くらいの戦力差で用意しないと「良い」と思っているものをいきなり「悪い」とは思えないし、デメリットのみを主張する人が独善的に思えてしまう。（いかに喫煙者の健康を心配したものであったとしてもだ）
このような超越論的かつポスト構造主義的な考えに基づいてタバコのメリットを列挙してみることにした。
タバコを吸うことのデメリットはちょっとググればいくらでも出てくるし、厭ってほどテレビ等で見せられているので今更見据えるには値しない。
それよりもタバコを吸うことの精神的・物質的・功利主義的メリットを見据えることにより、喫煙の習慣の背後にある本質的問題をひも解き、理解し、再構築しようというのが今回の目的である。
・・・が、
なんかあれだね。タバコを吸うメリットってぱっと思いつくだけでもかなり反社会的で非人間的な動機と趣向が多いね。
なんか列挙するだけで帝王がいかに自分勝手で独善的な人間なのかを思い知らされるようでホントに厭になってきたよ。タバコ吸いたくなってきたよ。
まあ、やってみるか。引かないでよ？
- タバコを吸ってない人間に対して、自分は特別な人間なんだという優越感に浸れる。
- 敢えて健康に悪い行為を行うことで自分は刹那に生きる人間であるという趣向に酔いしれることができる。
- 次元大介みたいでかっこいい。
- セブンスターの箱がかっこいい。
- 山の中とかで1人になっても自分はタバコという不自然なものをあえて吸っている動物以上の存在であると思える。
- 山の中で霧にまかれてオゾン中毒になりそうになってもタバコの二酸化炭素で助かる、ような気がする。
- タバコを吸うという理由なら仕事を堂々とさぼれる。外に行ける。コーヒーはわざわざ外で飲まない。
- タバコを吸うコミュニティの人たちとここまで書いたような共通の優越感で浸れる。
- 実は体には悪くないんじゃないかと思ってる。（我ながらここがあやしいよな・・・。）
- 世間的にはタバコは迫害されていると思っているので自分はマイノリティでかっこいいと思ってる。
- タバコを吸うことで仕事を堂々とさぼれるという利益を享受しようとしない非喫煙者を見下せる。（うわ、自分でひくわ・・・）
- もうゆるしてください。
うわー、すげーな。自分で書いてて引くわ、まじで。
これなら、癌で死んでもしょうがないかなってくらい罰当たりなこと考えてるね、僕。
こういう風に正直に書いても、大半の喫煙者は「いや、俺全然そんなこと考えてないよ？君最低だね？」とかうそぶくんだろーなー。
正直者ってつらいね。
とはいえ、やはりずいぶん禁煙のヒントになったような気がする、これは。
これに対応するデメリットを考えてひも解いていけばいいわけだ。
今回は気楽に行こうかね。リセットなんちゃらの本で参考になったのはそこだけだな。
